ローカルLLMは本当に無料?RTX 4070 Tiで電気代・PC代・APIを比較
ローカルLLMは、モデルをダウンロードすれば月額料金なしで使えます。では、ChatGPTなどの月額契約より必ず安いのでしょうか。
見落としやすいのが、動かしている間の電気代と、ローカルAIのために用意するPC代です。すでにGPU搭載PCを持っている人と、新しく25万円のPCを買う人では、同じモデルを使っても結論が逆になります。
今回はRTX 4070 Ti 12GBのPCで、Qwen 3.5 9BとGPT-OSS 20Bを実際に動かしました。GPUとCPUの電力、生成速度、1回の処理に必要な電力量を測り、月額契約とAPIも同じ月額の表へ並べます。
先に結論をまとめます。
| 使い方 | 月額の目安 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 既存PCでQwen 9Bを1日2時間連続生成 | 471円 | すでに十分なGPUを持つ人 |
| 既存PCでGPT-OSS 20Bを1日2時間連続生成 | 347円 | 待ち時間よりローカル処理を重視する人 |
| 15万円の追加投資を5年利用+Qwen | 2,971円 | 長く使い、オフライン性も重視する人 |
| 25万円のPCを3年利用+Qwen | 7,415円 | 費用以外の理由で専用PCが必要な人 |
| 月20ドルのチャット契約 | 約3,606円 | 手軽さ、品質、最新機能をまとめて使いたい人 |
| APIを月1,000回使う固定条件例 | 124〜2,995円 | 決まった処理を少量から自動化したい人 |
既存PCなら、ローカルLLMの継続費は月数百円です。しかし、専用PCを新しく買うと電気代よりPC代の方が大きくなります。利用が少ない場合は、APIが最も安くなることもあります。

ローカルLLMの「無料」は、毎月の利用料がないという意味です。総額は、今あるPCを使うか、新しく買うかで決まります。
動画で実測の流れと結論を確認したい方はこちら
ローカルLLMの「無料」に含まれない費用
ローカルLLMには、クラウドAIのような1回ごとのAPI料金や月額契約がありません。一方で、次の費用は自分で負担します。
- モデルを動かすPCやGPUの購入費
- 生成中と待機中の電気代
- SSDなどの保存容量
- セットアップ、更新、バックアップに使う時間
- 故障時の修理や買い替え
この記事では、金額にしやすい電気代とPC購入費を中心に比べます。設定に使う時間、故障、売却価格は計算へ入れていません。
実機条件|RTX 4070 Tiで2つのモデルを測定
検証日は2026年7月25日です。軽くて速い9Bモデルと、CPUも併用する20Bモデルを同じPCで測りました。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| OS | Windows 11 Home |
| GPU | NVIDIA GeForce RTX 4070 Ti 12GB |
| CPU | Intel Core i7-13700F |
| RAM | 64GB |
| 実行ソフト | Ollama |
| モデル1 | Qwen 3.5 9B・Q4_K_M・100% GPU |
| モデル2 | GPT-OSS 20B・MXFP4・27% CPU / 73% GPU |
| 共通設定 | temperature 0・context 8,192 |
共通プロンプトを各モデルへ与え、完了条件を満たした処理を3回ずつ測定しました。GPU電力はNVIDIA-SMIで0.5秒間隔、CPUパッケージ電力はWindows Energy Meterで1秒間隔に記録しています。
PC全体の電力は、GPU・CPU実測値から推定
今回、コンセントへ挿すワットメーターは使っていません。GPUとCPUは実測し、PC全体は次の式で推定しました。
PC全体の推定W =(GPU実測W + CPU実測W + その他部品40W)÷ 電源効率0.90
マザーボード、メモリ、SSD、ファンなどを40W、電源効率を90%とした簡易計算です。そのため、以下の「PC全体」と「電気代」は、このPCでの推定値です。
モデルを読んでいない待機状態は140.9W、モデルを読み込んで生成していない状態はQwenが156.2W、GPT-OSSが146.6Wでした。
実測結果|Qwenは速く、GPT-OSSはCPUを併用
| モデル | 生成速度 | GPU実測 | CPU実測 | PC全体推定 |
|---|---|---|---|---|
| Qwen 3.5 9B Q4 | 70.3 token/s | 119.8W | 68.1W | 253.2W |
| GPT-OSS 20B | 36.1 token/s | 63.2W | 64.9W | 186.8W |
Qwen 9Bは100% GPUへ配置され、GPT-OSS 20Bは27%をCPU、73%をGPUで処理しました。そのため、このPCではQwenの方が動作中の電力は高いものの、生成速度は約1.9倍でした。
この結果から「20Bモデルの方が省電力」とは言えません。GPT-OSSはGPUに収まり切らず、CPUを併用してゆっくり動いたため、瞬間の消費電力が低く見えています。
1回の仕事では、低いW数だけで決まらない
実際の費用は、動作中のW数だけでなく、処理が終わるまでの時間で決まります。
| モデル | 生成トークン | 見える回答 | 完了1回の電力量 |
|---|---|---|---|
| Qwen 3.5 9B Q4 | 109 | 198文字 | 0.151Wh |
| GPT-OSS 20B | 437 | 222文字 | 0.664Wh |
GPT-OSSは低設定の思考を含む437トークンを生成し、同じ完了条件まで約13秒かかりました。Qwenは約2.15秒です。GPT-OSSの動作中W数は低くても、1回を終える電力量はQwenの約4.4倍になりました。
出力量を1,000トークンへそろえた推定では、Qwenが1.39Wh、GPT-OSSが1.52Whです。どちらの見方でも、W数だけを見て安さを決めないことが大切です。
1日30分・2時間・8時間なら、月の電気代はいくら?
家電の電気代表示で使われる31円/kWhを使い、毎日同じ時間だけ連続生成した場合を計算しました。
月の電気代 = PC全体推定W ÷ 1,000 × 1日の連続生成時間 × 30日 × 31円
| モデル | 30分/日 | 2時間/日 | 8時間/日 |
|---|---|---|---|
| Qwen 3.5 9B Q4 | 118円 | 471円 | 1,884円 |
| GPT-OSS 20B | 87円 | 347円 | 1,390円 |
ここでいう2時間は、チャット画面を2時間開くことではありません。2時間ずっと回答を生成し続ける条件です。質問を数回する普通の使い方なら、生成中と待機中が混ざるため、この表より安くなります。
PCが元々動いているなら、増えた分はさらに小さい
普段からPCを起動している人は、140.9Wの待機電力を除いた「ローカルLLMで増えた分」も参考になります。
| モデル | 30分/日 | 2時間/日 | 8時間/日 |
|---|---|---|---|
| Qwen 3.5 9B Q4 | 52円 | 209円 | 835円 |
| GPT-OSS 20B | 21円 | 85円 | 341円 |
既存のGPU搭載PCを使うなら、毎月増える費用はかなり小さくなります。ローカルLLMを費用面で始めやすいのは、この条件です。
PC代を含めると、月数百円が7,000円台になる
PC代は、購入額を使う月数で単純に割りました。
1か月のPC代 = 購入額 ÷ 利用月数
| 前提 | Qwen 9B | GPT-OSS 20B |
|---|---|---|
| 既存PC・1日2時間 | 471円 | 347円 |
| 15万円の追加投資・5年・1日2時間 | 2,971円 | 2,847円 |
| 25万円のPC・3年・1日2時間 | 7,415円 | 7,292円 |
| 35万円のPC・3年・1日8時間 | 11,606円 | 11,112円 |
15万円を5年なら、PC代は月2,500円です。25万円を3年なら、月6,944円になります。専用PCを新しく買う場合、電気代ではなく購入費が総額を決めます。
動画編集やゲームなどにもPCを使うなら、購入費をすべてローカルLLMへ負担させる必要はありません。反対に、AI専用機として買うなら、表の金額に近い考え方になります。
月20ドルのチャット契約は約3,606円
ChatGPT Plusは月20ドルです。2026年7月24日の日本銀行の中心相場1ドル163.93円と、日本向け消費税10%で換算しました。
20ドル × 163.93円 × 1.10 = 約3,606円
| 比較条件 | 月額 |
|---|---|
| 既存PC+Qwen 9B・1日2時間 | 471円 |
| 15万円を5年+Qwen 9B・1日2時間 | 2,971円 |
| ChatGPT Plus・月20ドル換算 | 約3,606円 |
| 25万円を3年+Qwen 9B・1日2時間 | 7,415円 |
15万円の追加投資を5年使う例なら、ローカルが月20ドル契約を下回りました。25万円のPCを3年で使う例では、ローカルの方が高くなります。
ただし、9BのローカルモデルとChatGPT Plusは同じ商品ではありません。月額契約には高性能モデル、検索、ファイル処理、画像などの機能と運営側の管理が含まれます。料金表は、同じ性能の比較ではなく、毎月いくら払うかを並べたものです。
利用が少ないなら、APIが最安になることもある
APIは、使った入力と出力の量に応じて料金を払います。入力250トークン、出力512トークンの処理を月1,000回行う条件で計算しました。
| APIモデル | 1回 | 月1,000回 |
|---|---|---|
| GPT-5.4 nano | 0.12円 | 124円 |
| GPT-5.4 mini | 0.45円 | 449円 |
| GPT-5.6 Terra | 1.50円 | 1,498円 |
| GPT-5.6 Sol | 3.00円 | 2,995円 |
為替は1ドル163.93円、消費税は10%で統一しています。少量の分類、定型文作成、データ整形なら、PCを買わずにAPIから始める方が安くなりやすい結果です。
一方、長い文書を大量に処理するとAPI料金は増えます。ローカル実測とAPIの例では、生成した文章量もモデルの品質も異なるため、1回の金額だけで同じ仕事の勝敗とは判断できません。
ローカル1,000回の電気代は約5円と約21円
今回の完了条件付き処理を、そのまま1,000回繰り返す電気代も計算しました。
| ローカル実測 | 1回の電力量 | 1,000回の電気代 |
|---|---|---|
| Qwen 9B | 0.151Wh | 約5円 |
| GPT-OSS 20B | 0.664Wh | 約21円 |
電気代だけなら非常に安く見えます。しかし、この表にはPC代とセットアップ時間が入っていません。また、API例と同じ出力トークン数や回答品質でもありません。
この数字から分かるのは、PCをすでに持っていて、同じ定型処理を大量に繰り返すほど、ローカルの1回あたり電気代が小さくなることです。
結局どれを選ぶ?4つの判断ルート
| あなたの状況 | 最初の候補 | 理由 |
|---|---|---|
| GPU搭載PCをすでに持っている | ローカルLLM | 継続費が電気代中心になる |
| GPUがなく、利用は月数百〜数千回 | API | PC購入なしで小さく始められる |
| 設定なしで高性能モデルや各種機能を使いたい | 月額契約 | 手間と管理をサービス側へ任せられる |
| オフライン、回数制限なし、手元処理を重視 | ローカルLLM | 費用以外の価値が大きい |
費用だけで選ぶなら、次の順番にすると無駄が少なくなります。
- 今あるPCで小さなモデルを試す
- 同じ作業を月額契約かAPIでも試す
- 必要な回数と文章量を1か月記録する
- PC代を使う年数で割り、月額へ足す
- 料金、回答品質、待ち時間、オフライン性で決める

PCを買う前に、実際に使う三つの作業を月額契約やAPIで試すと、必要な性能と利用回数が見えます。
自分の条件へ置き換える計算式
電気料金やPC価格は人によって違います。次の4つを置き換えると、自分の月額を計算できます。
月の電気代 = 推定W ÷ 1,000 × 連続生成時間/日 × 30 × 契約中の円/kWh
月のPC代 = AI用途へ割り当てる購入額 ÷ 利用月数
ローカル月額 = 月の電気代 + 月のPC代
API月額 ={入力トークン数 × 入力単価 + 出力トークン数 × 出力単価}÷ 100万 × 為替 × 税 × 月の回数
PC全体の電力をより正確に知りたい場合は、コンセント型ワットメーターで、モデル未起動、モデル読込後、生成中の3状態を測ると比較しやすくなります。
よくある質問
ローカルLLMは結局、無料ではないのですか?
モデルや実行ソフトの利用料が0円でも、電気代とPC代はかかります。すでにGPU搭載PCを持っていれば、毎月増える費用は小さくできます。
GPT-OSS 20Bの方がQwen 9Bより省電力ですか?
一般には言えません。今回の12GB環境では、GPT-OSS 20BがCPUを併用して低速で動いたため、生成中のW数が低くなりました。一方、完了1回の電力量はGPT-OSSの方が大きい結果です。
何回使えばPC代の元が取れますか?
比較するAPIや月額契約の料金、必要な回答品質、PCを他の用途にも使うかで変わります。回数だけの共通の損益分岐は作れないため、1か月の実利用を記録して比べる方法が確実です。
ノートPCや別のGPUでも同じ金額ですか?
同じにはなりません。GPU、CPU、電源効率、モデルの配置で変わります。この記事の数値は、RTX 4070 Ti 12GBとCore i7-13700Fの組み合わせでの結果です。
まとめ|無料かではなく、総額で選ぶ
- 既存PCなら、1日2時間の連続生成でも月の電気代は347〜471円
- PCが元々動いている場合の増加分は、同じ条件で月85〜209円
- 15万円を5年使う例は月2,847〜2,971円
- 25万円を3年使う例は月7,292〜7,415円
- 利用が少なければ、APIが月124円からになる条件もある
- 手軽さと最新機能を重視するなら、月額契約にも料金以上の価値がある
ローカルLLMが安いのは、十分なPCをすでに持ち、繰り返し使う場合です。新しいPCが必要なら、先に月額契約かAPIで自分の作業を試してから購入を決めると失敗しにくくなります。
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- GPT-5.4 miniのAPI料金|OpenAI
- GPT-5.6 TerraのAPI料金|OpenAI
- GPT-5.6 SolのAPI料金|OpenAI
- ローカルAI実機検証の記事を順番に読む
- ローカルLLMに必要なPCスペック
- ローカルAIとクラウドAIの違い
- RTX 4070 TiでローカルLLM四天王を比較
- GPT-OSS 20BのGPU自動配置と手動配置を比較
本記事の実機測定と料金確認は2026年7月25日時点です。モデル、料金、為替、税、電気料金は変わるため、契約前に各公式情報をご確認ください。
