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ローカルAI

ローカルAIで会議議事録を作れる?Whisper+Qwenを12GB PCで実機検証

ルミィがWhisperとQwenのローカルAI議事録検証結果を示すブログ用アイキャッチ
ルミィ

社内会議や顧客との打ち合わせをAIで議事録にしたくても、音声をクラウドへ送れない場合があります。そこで候補になるのが、文字起こしも要約も自分のPC内で行うローカルAIです。

ただし、処理が速いことと、数字や決定事項が正しいことは同じではありません。ローカルAIだけで、会議後にそのまま配れる議事録まで作れるのでしょうか。

今回は、RTX 4070 Ti 12GBのPCで、faster-whisper small/mediumとQwen3.5 9Bを組み合わせました。同じ10分の合成会議を、静音・軽い雑音・発言かぶりの3条件で処理しています。

先に結果をまとめます。

確認項目実測結果
10分の文字起こしsmall 平均13.10秒/medium 平均22.67秒
mediumの文字起こし+議事録37.776〜40.883秒
平均文字誤り率small 17.10%/medium 14.67%
担当と期限9組mediumの3条件すべて9/9
主要決定12件mediumで11/12〜12/12
大きな誤り6条件中5条件で動画広告20万円を10万円と認識
Qwen固有の問題Whisperの410万円を、正解ではない41万円へ変更

結論は、ローカルAIでも議事録の下書きは速く作れるが、無確認の確定版にはできない、です。Whisperの聞き間違いが議事録へ移るだけでなく、Qwenが誤りをもっともらしい別の値へ直す場合もありました。

ルミィ
ルミィ

約40秒はモデル読込後のAI処理時間です。人が原音を確認した時間は含まれていません。

会議議事録以外のローカルAI実機検証や、VRAM別の導入目安も確認したい場合は、AIを動かす環境の案内ページから探せます。

動画で実際の誤りと処理の流れを見る

10分会議の処理時間と、20万円が10万円へ変わる過程を動画で確認できます

YouTubeで動画を開く

動画では、実際の文字起こしと議事録を大きく表示し、Whisper由来の誤りとQwen由来の誤りを分けて追っています。この記事では、全条件の数値、採点方法、検証の限界、安全な使い方まで整理します。

WhisperとQwenの役割は別

今回の処理は2段階です。最初にfaster-whisperが音声を文章へ変換し、その文章をQwen3.5 9Bへ渡して議事録の形へ整理します。

  1. 会議音声をPCへ保存する
  2. faster-whisperで文字起こしする
  3. 文字起こしをQwen3.5 9Bへ渡す
  4. 最終決定、担当と期限、未決定、却下案へ分ける
  5. 人が原音と照合して確定する

この分け方が重要です。完成した議事録だけを見ると、誤りが音声認識で生じたのか、Qwenが整理するときに生じたのか判断できません。今回は6条件の文字起こしと議事録を別々に保存して原因を追いました。

録音、文字起こし、話者分離、共有まで含めて製品を選びたい場合は、AI議事録ツールの比較と選び方も確認してください。

検証環境

項目条件
OSWindows 11
GPUNVIDIA GeForce RTX 4070 Ti 12GB
CPUIntel Core i7-13700F
メモリ64GB
音声認識faster-whisper small/medium
音声認識設定CUDA、FP16、beam size 5、VAD有効、日本語指定
議事録モデルOllama qwen3.5:9b(9.7B、Q4_K_M)
議事録設定温度0、seed 42、コンテキスト8,192トークン

Qwen3.5 9Bのモデル仕様上のコンテキスト長と、今回の実行設定は分けて考える必要があります。この記事で使う8,192トークンは、今回設定した値です。

計測中のGPU全体の最大使用量は、smallが2,479MiB、mediumが3,822MiB、Qwen3.5 9Bが8,369MiBでした。待機時は約1,500MiBです。

同じ10分会議を3つの音声条件で検証

比較条件をそろえるため、VOICEVOXで架空の製品会議を作りました。発話は59本、正味の発話時間は489.696秒です。各音声を600秒にそろえ、3条件を連結した音声は正確に1,800秒になっています。

条件内容
静音基準となる合成会議音声
軽い雑音事務所風雑音、SNR 12dB
発言かぶり1.35秒の重なりを8回追加

正解データは、主要決定12件、担当と期限9組、未決定3件、却下案9件です。過去の案や否定された数字も会話へ混ぜ、最終決定だけを分けられるか確認しました。

各モデル・各条件は1回ずつ測定しています。繰り返し測定ではないため、わずかな差を一般的な性能差とは判断しません。

10分の文字起こしはsmall平均13.10秒、medium平均22.67秒

モデル条件処理時間文字誤り率
small静音13.380秒16.69%
small軽い雑音12.953秒17.64%
small発言かぶり12.961秒16.96%
medium静音20.940秒14.34%
medium軽い雑音23.574秒14.79%
medium発言かぶり23.508秒14.88%

平均処理時間はsmallが13.10秒、mediumが22.67秒でした。mediumはsmallより処理時間が約73%増えましたが、平均文字誤り率は17.10%から14.67%へ2.43ポイント低下しています。

mediumの3条件は14.34%、14.79%、14.88%で、最大差は0.54ポイントです。今回の強さの雑音や短い発言かぶりでは、文字誤り率はほとんど動きませんでした。

文字誤り率は、正解文と認識文をNFKC正規化し、空白と句読点を除いて計算しています。漢字とかなの表記差も誤りに含むため、14.67%のすべてが意味の変わる誤認というわけではありません。

mediumの文字起こし+議事録は約38〜41秒

条件文字起こしQwen合計
静音20.940秒19.032秒39.972秒
軽い雑音23.574秒14.202秒37.776秒
発言かぶり23.508秒17.375秒40.883秒

10分音声を文字へ変え、Qwenで議事録へ整えるまでのAI処理は約38〜41秒でした。これはモデル読込後の値であり、音声ファイルの準備、モデルの初回読込、人による確認は含みません。

担当と期限は3条件すべて9/9、ほかの項目は揺れた

条件主要決定12件担当と期限9組未決定3件却下案9件の検出却下案の出力総数
静音12/129/92/38/912件
軽い雑音11/129/93/37/910件
発言かぶり12/129/92/36/911件

Qwenは、発売日9月18日、総予算248万円、試験利用者30人を最終決定として残しました。9月10日、300万円、50人といった古い案を最終決定にしなかった点も良好です。

一方、文字誤り率がほぼ同じでも、主要決定、未決定、却下案の検出数は同じ動きになりませんでした。各条件1回なので音声条件の影響とは断定できませんが、文字誤り率だけでは議事録の出来を判断できない例になっています。

却下案の8/9、7/9、6/9は、事前指定した9件がQwenのrejected欄に意味上残ったかを見る検出指標です。Qwenが出力した全項目の正しさを測る適合率ではありません。広告費を報告費、無料試用を無料仕様とした表記の誤りも、この検出数では減点していません。

20万円が10万円へ変わった原因を6条件で追跡

広告費の正解は、検索広告40万円、動画広告20万円、画像制作10万円です。文字起こしと議事録を照合すると、次の経路が確認できました。

条件Whisper文字起こしQwen議事録
small・静音40万/20万/10万40万/20万/10万
small・軽い雑音40万/10万/10万40万/10万/10万
small・発言かぶり40万/10万/10万40万/10万/10万
medium・静音410万/10万/10万41万/10万/10万
medium・軽い雑音40万/10万/10万40万/10万/10万
medium・発言かぶり410万/10万/10万41万/10万/10万

6条件中5条件で、Whisperが先に動画広告20万円を10万円と認識しました。ここまでは音声認識の誤りが下流へ伝わった例です。

さらにmediumの静音と発言かぶりでは、Whisperが検索広告40万円を410万円と認識し、Qwenはそれを正解の40万円ではなく41万円へ変えました。明らかに不自然な数字を、もっともらしい別の誤りへ整えた形です。

Qwenは広告費総額70万円を別の箇所に残しながら、内訳合計60万円または61万円との矛盾も残しました。今回の失敗は、次の3段階に分けられます。

  1. Whisperが音声を誤認する
  2. Qwenが誤認を引き継ぐ、または別の値へ誤修正する
  3. Qwenが総額と内訳の不一致を見逃す
ルミィ
ルミィ

410万円なら気づきやすくても、41万円へ直されると見逃しやすくなります。「自然な文章だから正しい」とは判断できません。

数字以外にも日付・固有名詞・未決定事項で失敗

  • mediumの軽い雑音で「英語版」が「A5版」になり、議事録にもA5版と記載
  • smallの軽い雑音で「復旧訓練9月8日」が「普及訓練6月8日」になり、議事録へ反映
  • 「広告費」が「報告費」、「無料試用」が「無料仕様」になる誤認が複数条件で発生
  • mediumの3条件すべてで、議事録の会議日欄が空欄
  • Mac版の対応時期が、3条件中2条件で未決定欄から欠落

文章全体の意味が通っていても、重要な一語や一桁だけが変わります。金額だけでなく、日付、製品名、版名、否定や訂正も原音確認の対象にする必要があります。

自己チェックを追加しても誤りは残った

mediumの軽い雑音の文字起こしへ、次の確認を加えた改善プロンプトも試しました。

  • 全項目へ根拠時刻を付ける
  • 会議日は必ず書き、不明なら「不明」とする
  • 数字、日付、人名、製品名を要確認の対象にする
  • 合計と内訳を再計算する
  • 不自然な語を要確認欄へ分ける
改善したこと残った問題
会議日が2026年7月27日で埋まった40万+10万+10万=60万円なのに整合性を「問題なし」と判定
決定と担当タスクへ根拠時刻が付いたMac版の未決定事項だけ指定と異なるJSON形式で出力
不自然な語を要確認として抽出した人による最終確認を不要にはできなかった

プロンプトで確認工程を明示することには効果があります。ただし、AI自身の自己チェックを、人の検算や原音確認の代わりにはできませんでした。

実務では5段階で使う

  1. 時刻付きで文字起こしする:誤りを原音へ戻って確認できる形にします。
  2. 最終決定を分ける:提案や古い案と混ぜません。
  3. 担当と期限を分ける:誰が、何を、いつまでに行うかを別欄へ出します。
  4. 未決定と却下案を分ける:決まっていないことを決定事項へ入れないようにします。
  5. 原音で最終確認する:数字、日付、固有名詞、否定や訂正を重点的に照合します。

文字起こしが今回の8,192トークン設定を超える場合は、複数に分けて処理し、最後に統合します。会議が何分かではなく、文字起こし量が設定上限へ収まるかで判断します。

今回の12GB環境ではmediumを基本にしやすい

今回のPCでは、mediumでも10分音声の文字起こしは平均22.67秒でした。smallより平均文字誤り率が2.43ポイント低かったため、速度だけを最優先しないならmediumを基本にしやすい結果です。

smallは平均13.10秒と速く、主要な数字や担当期限の手がかり10項目は全条件で残りました。ただし、この10項目はすべての条件で10/10になり、条件差を見分ける指標にはなっていません。また、個別の誤認がないことを意味しません。

VRAM別のモデル容量から整理したい場合は、ローカルLLMに必要なPCスペックを参照してください。

使いやすい範囲人が必ず確認する範囲そのまま任せない範囲
文字起こしの下書き数字、金額、日付原音確認なしの確定版
決定事項の候補整理人名、製品名、版名契約や支払いの最終判断
担当と期限の一覧否定、訂正、却下案法的記録としての無人運用

ローカル処理でも、録音ファイルの保管場所、保存期間、アクセス権、端末の暗号化は別に管理する必要があります。「クラウドへ送らない」だけで、会議データの安全管理が完了するわけではありません。

この検証で分からないこと

  • VOICEVOX合成音声を使っており、実際の人間会議より条件が整っている
  • 各音声条件は1回だけで、反復測定ではない
  • 言い淀み、フィラー、マイク距離差、会議室の残響は未検証
  • 誰が話したかを分ける話者分離は対象外
  • Whisper large-v3、日本語特化モデル、クラウド議事録サービスとは比較していない
  • 人が原音を確認する時間は未計測

そのため、「10分会議の仕事が約40秒で終わる」「聞き直す時間を短縮できた」とは結論づけていません。今回測れたのは、モデル読込後の文字起こしと議事録生成にかかったAI処理時間です。

よくある質問

10分の会議を本当に約40秒で議事録にできますか?

今回のRTX 4070 Ti 12GB環境では、faster-whisper mediumの文字起こしとQwen3.5 9Bの議事録生成を、モデル読込後37.776〜40.883秒で処理できました。ただし、モデルの初回読込、ファイル準備、人による原音確認は含みません。

Whisper smallとmediumはどちらを選べばよいですか?

今回の12GB PCでは、速度優先ならsmall、文字誤り率を少し下げたいならmediumです。smallは平均13.10秒、mediumは22.67秒で、平均文字誤り率は17.10%から14.67%へ2.43ポイント低下しました。

ローカルAIなら会議データは安全ですか?

クラウドへ送らず処理できることは利点ですが、それだけで安全とは言えません。会社の利用規程を確認し、録音の保管場所、アクセス権、保存期間、端末暗号化、削除方法も決める必要があります。

完成した議事録を確認せず配布してもよいですか?

おすすめしません。今回も20万円が10万円になり、410万円をQwenが41万円へ変え、総額と内訳の矛盾を見逃しました。数字、日付、固有名詞、否定や訂正は原音と照合してください。

長い会議は何分ごとに分割すればよいですか?

時間だけでは決められません。今回のQwen実行設定は8,192トークンなので、文字起こしがその設定上限を超える場合に分割し、最後に統合します。発話量や文字起こし形式によって、同じ会議時間でも必要なトークン数は変わります。

まとめ|下書きはAI、確定は人が行う

  • 10分の文字起こしはsmall平均13.10秒、medium平均22.67秒
  • mediumの文字起こし+議事録は37.776〜40.883秒
  • 担当と期限9組はmediumの3条件すべて9/9
  • 主要決定は11/12〜12/12、未決定は2/3〜3/3
  • 6条件中5条件で動画広告20万円を10万円と認識
  • Qwenは410万円を正解ではない41万円へ誤修正した
  • 総額70万円と内訳60万円または61万円の矛盾も残った
  • 数字、日付、固有名詞、否定や訂正は人が原音確認する

ローカルAI議事録の価値は、完成版を無人で確定することではなく、人が確認しやすい下書きを短時間で作ることにあります。まずは正解が分かる架空音声で試し、自分のマイク、会議室、用語、PCでどこまで任せられるかを確認してください。

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本記事の仕様と実測結果は2026年7月27日時点です。

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